世界老人給食の日に知る、親を支える「食のケア」という新しい選択肢
9月2日は世界老人給食の日であることをご存じでしょうか。
高齢者の栄養と健康、そして「食べる楽しみ」について、世界的に関心を高める日として制定されています。
日本は世界有数の長寿国ですが、その一方で、高齢期の栄養不足や偏った食生活による健康リスクは見過ごされがちです。
今回は、この日をきっかけに「親世代の食生活」について考えてみましょう。
高齢者の食事に潜むリスク
年齢を重ねると、食欲が落ちたり、噛む力や飲み込む力が弱まったりと、さまざまな変化が起きます。
- 食欲の低下
活動量が減ることで食欲が落ち、必要な栄養が摂れなくなる - 咀嚼(そしゃく)力の低下
硬いものが食べにくくなり、やわらかいものばかりに偏る - 独居による食生活の乱れ
一人暮らしの高齢者では「簡単に済ませる食事」が増える傾向 - 調理の手間による栄養不足
料理の頻度が減り、冷凍食品やインスタント食品に頼りがち
これらが続くと、低栄養(フレイル)、筋力低下、免疫力の低下など、健康状態の悪化に直結します。
世界老人給食の日の目的と背景
世界老人給食の日は、各国で高齢者向けの給食活動を広め、
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会をつくるきっかけをつくるために制定されました。
日本でも、地域の配食サービスや高齢者向けのデイサービスの食事提供など、
食を通じて高齢者を支える取り組みが各地で行われています。
この日を知ることで、「食事のサポート」も立派な介護・支援の一つであることに気づくきっかけになります。
親の食生活を確認するポイント
お盆や連休などで帰省した際、親の食生活をさりげなくチェックすることが大切です。
- 冷蔵庫の中が極端に空、または古い食品でいっぱいになっていないか
- 食事の品数が少なく、主食ばかりになっていないか
- 咀嚼や飲み込みに苦労している様子はないか
- 食事を「面倒だから」「お腹が空かない」と言って抜くことが増えていないか
こうした小さな変化が、栄養不足のサインであることもあります。
家族にできるサポート
親の食生活の改善には、無理なく取り組める工夫が大切です。
- 調理が簡単な栄養バランス食の提案
市販の高齢者向けレトルト食品や冷凍宅配弁当を活用 - 一緒に買い物・調理をする
週末にまとめて料理して冷凍保存するのも便利。アイスタッフのサポーターさんにお願いして、一緒に買い物をするのも有効。 - 配食サービスの検討
地域の配食ボランティアや宅配弁当サービスを活用 - 医師・栄養士に相談
健康状態に合わせた食事のアドバイスを受ける
「食べる楽しみ」を守ることが健康寿命を延ばす
栄養のためだけではなく、「食べることそのもの」が高齢者にとって生きがいになることも少なくありません。
家族や友人と食卓を囲むことで、孤独の解消や心の健康維持にもつながります。
世界老人給食の日は、「親の食事」を見直すきっかけとしてとてもよいタイミングです。
「栄養が足りているか」「楽しく食べられているか」という2つの視点を持って、親世代の暮らしを見守っていきたいですね。
まとめ
9月2日の世界老人給食の日をきっかけに、親の食生活を見直すことは、健康寿命の延伸にも直結します。
普段あまり意識しないテーマですが、食事は毎日の積み重ね。ほんの少しの支援が、体の健康だけでなく、心の充実にもつながります。
離れて暮らす親のことが気になる方も、ぜひこの機会に「食」の話題を切り出してみてはいかがでしょうか。



