親の病院・通院サポート、どこまで手伝う?
ふと親の歩く姿を見たら以前よりゆっくりと歩いているな、歩きにくそうだな、と思った方もいるのではないでしょうか。
年齢を重ねると、通院は欠かせない日常の一部になります。しかし、その通院が「ひとりで行くのが不安」「病院のシステムがわかりにくい」「薬の管理が難しい」といった問題につながることも少なくありません。
今回は、親の通院をどこまで手伝うべきなのか、サポートの実際や工夫の仕方について考えていきます。
通院は高齢者にとって大きな負担
通院といえば「ただ病院に行くだけ」と思われがちですが、高齢の方にとっては以下のようなハードルがあります。
- バスや電車の乗り換えが不安
- 病院までの移動距離が長く、体力的に疲れてしまう
- 病院内の受付や自動精算機の操作が難しい
- 診察内容を理解しきれず、医師の説明を覚えきれない
特に複数の病院にかかっている場合は、移動や待ち時間だけで1日がかりになることもあります。
家族がサポートすべきか、本人に任せるべきか
通院サポートは「全部やってあげる」のが正解ではありません。親の自立心を尊重しつつ、必要な部分をサポートするバランスが大切です。
本人ができること
- 診察券や保険証を持参する
- 薬を自分で管理する(ピルケースの活用など)
- 医師に質問したい内容をメモしておく
家族が手伝った方が良いこと
- 病院までの移動の付き添い
- 医師の説明を一緒に聞き、記録する
- 薬の飲み合わせや処方内容を確認する
つまり「安心して受診できるように環境を整える」のが家族の役割といえるでしょう。
具体的なサポート方法
1. 移動のサポート
車での送迎はもちろん、公共交通機関を使う場合は乗り換えを調べて一緒に行くなども有効です。最近は「通院送迎サービス」や「福祉タクシー」を利用する家庭も増えています。
2. 医師の説明を一緒に聞く
高齢者は診察室で緊張してしまい、大事なことを聞き逃すことがあります。家族が同席すれば、医師の説明をメモして整理し、後から親と一緒に確認できます。
3. 薬の管理をフォロー
複数の薬を処方されている場合は飲み間違いのリスクが高まります。家族が一緒に薬局で説明を受けたり、1週間分を仕分けるピルケースを準備したりすると安心です。
4. 定期的にスケジュールをチェック
病院の予約日や検査予定をカレンダーやスマホに入れておくと、「忘れてしまった」という事態を防げます。
サポートが行き届かないとどうなるか
通院のハードルが高くなると「まあ今日はいいか」と受診を先延ばしにしてしまうことも。その結果、病気の発見が遅れたり、薬の飲み忘れが重なって体調を崩したりするリスクがあります。
特に糖尿病や高血圧といった慢性疾患は、定期的な受診と薬の継続が不可欠。ここを支えるのは、やはり家族や身近な人のサポートです。
「やりすぎない」ことも大切
ただし、全部を肩代わりしてしまうと、親の自立心を奪ってしまうこともあります。大切なのは「手伝いすぎないこと」。
- できることは自分でやってもらう
- 難しい部分だけ補う
- 本人が選択する余地を残す
このように、「共に進める」姿勢が長続きするサポートにつながります。
サポートを外部に委ねる選択肢も
仕事や育児で忙しい中、通院のたびに時間を取るのは難しいご家庭も多いはずです。そんなときは、外部のサービスを頼ることも現実的な選択です。
- 見守りサポート
- 通院付き添いサービス
- 在宅診療や訪問看護
こうしたサービスを活用することで、家族の負担を減らしつつ親の安心を守ることができます。
まとめ
親の通院サポートは「どこまで手伝うか」の線引きが難しいテーマです。
大切なのは、
- 本人の自立心を尊重する
- 移動・説明・薬管理など必要な部分を補う
- 無理なく続けられる仕組みを整える
この3点を意識することです。
親にとって通院は健康を守る大切な時間。家族が少し寄り添うことで、その時間が安心で有意義なものになります。



